NO.1
作家 : 愛知県
技法:ペン画
画材:木製パネル、ニューブレダン、墨
1990年生まれ。
墨を使用し複雑に絡み合った線で、人の無意識を爽やかに表現しています。
近作は、西洋の書籍などに見られる挿絵調の表現により、子供の姿を借りた主人公や、本の形をした自己・他者・社会を通して、人間の魂の有様や、よりよい人生のための根源的な要素を描き出そうと模索しています。
図書館には、閲覧用の書棚のほかに、一般には立ち入りの許されていない「書庫」があります。
ここに置かれた本が必要になったときは、司書さんにお願いして、運び出してもらいます。
最近、読みたい本の住所が「書庫」になっていることが増えてきました。
なんとか本の形を保っているような年期の入ったものにも出会います。
記憶も似たようなもので、きっと、必要とされる限りは強かに生き続けるのでしょう。
私が本や巨大な書庫を描き続ける理由は、記憶により苦しむ人が、記憶により救われる瞬間に希望を抱いているからなのかもしれません。
いつか私の記憶も、だれかを救ったりするのかしら。